ハードロック/ヘヴィメタルの世界にも色んな風潮や正義感がはびこっているが、僕は「そういう考え方が正義とされるのはおかしいだろ」とガツンと物申したいことがいくつもある。それを挙げていきたい。

今回挙げるのはこの正義感、「嫌いなアーティストがいるからライブに行かない」

フェスティバルの出演者やアーティストのツアーの前座に自分が気に入らないがのいて、それを理由にライブに行くのをやめてしまうというケース。LOUD PARKをやっていた時代なんかは特にそういったことが多くあった。

その手の人達はいかにも自分のそういう考えが絶対正義といった感じでいたが、僕はこれを大変愚かなことだと思ってる。愚かだと証明する明白な理由があるのでそれを書き綴る。

この手の話は日本で開催されたOZZFESTなんかがしっかり当てはまる。2013年、初めて日本でOZZFESTが開催されたとき、ラインナップに「邦楽が多すぎる」と叩かれ、それを理由に行かない人が大勢いた。
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当時はその「邦楽が多いから」という理由で行かないという姿勢が普通と思われていた。が、僕はこれはとんでもない過ちだとつくづく思う。

何が過ちだと言うのか。まあ「邦楽アーティストより洋楽アーティストが観たい」という思い自体に否は無い。僕がガツンと言いたいのは
「邦楽が多いからとかそんなつまらない理由で行くのをやめるな」
「フェスティバルは自分の好きなアーティストがいる時点で行け」
ということである。
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まずフェスティバルというのは一日中自分の好き勝手に動き回れるものであってどのアーティストを観るのも自由。嫌いなアーティストなんて観なければいいだけ。観たくないアーティストの出演時間なんてトイレタイムなり食事タイムなりブースを見て回るなり色々できる。
それなのにフェスのラインナップを叩く人達はまるで全てのアーティストを強制的に観ないといけないかのような反応をとっていた。それはフェスティバルというものをわかっていない。

そして気に入らないアーティストがいるから行かないという姿勢は洋楽アーティストが来日しなくなる原因となる。
日本国外のアーティストを呼ぶのは日本国内のアーティストを呼ぶのとはコストが桁違いである。そりゃわざわざ海を渡ってやって来るのだからその分、渡航費や輸送費といった費用もかかるであろう。その高くついた分のコストを回収しなければならないのだが、そのライブに行かなければ回収ができない。ライブのチケットを買って経済を回さなければいけないというのに全く経済が回らない。

その結果、洋楽アーティストのコストパフォーマンスは悪くなる一方。多くの洋楽アーティストが来日公演をさせたら赤字になってしまう始末。2010年代辺りから来日公演を行う洋楽アーティスト(特にメタル系)が顕著に減っていったわけだが、その理由は人々のこういう姿勢にある。

フェスティバルの他にも来日アーティストの前座が気に入らなくて行かないというケースもあった。
僕が目にした中だと例えば2017年のGUNS N’ ROSESの日本ツアー。このツアーの前座にはBABYMETAL(1公演のみMAN WITH A MISSION)がついていたが、「BABYMETALがいるから絶対行かない!!」と強い口調で言ってるアンチBABYMETALのガンズファンがいた。僕はこの人はなんて愚かなんだとつくづく思う。
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まず最初のツッコミどころ。BABYMETALが嫌いなんだったらBABYMETALの出番が終わる時間帯に会場入りすればいいだけの話である。上述のフェスの話と同じく嫌いなアーティストを無理して観る必要なんて一切無い。

そしてこの人はいかにも自分がBABYMETALなんか認めない屈強なガンズファンといった態度をとっていたが、実際は軟弱なファンである。自分が気に入らないアーティストがいるからという理由でライブに行くのをやめるなんて中途半端な気持ちで応援しているぬるいファンだ。本気で応援しているのであれば嫌いなアーティストの存在を感じるより好きなアーティストに会いたい気持ちの方が断然勝る。
ましてやこのときのGUNS N’ ROSESのツアーはスラッシュとダフ・マッケイガンが揃って超久々にバンド復帰というファンなら何がなんでも観に行こうという気にさせてくれるような内容だった。それを前座が気に入らないという理由で投げ出すなど「あなたのガンズに対する愛はその程度のものだったんですね」って話でそんな人間が正義ヅラするなど滑稽である。

この手の人達は何かとBABYMETALとかアイドルなどをやたら嫌悪していて見下していることが多いが、寧ろこういうアーティストのファンを見習うべきだと言いたい。
何を見習うべきかと言うとこれらのアーティストのファンは応援する熱意が凄まじい。ライブなんかはどこまでもついていく。フェスティバルなんかはそのアーティスト1組出るとなっただけでもすっ飛んで行く。上述の邦楽が多いから行かないとか言っていた人達とはえらい違いである。

更には日本国外のツアーなんかも積極的についていく。BABYMETALなんかはワールドツアーについていく自国のファンが多いためJTB社が公式にBABYMETALの日本国外の公演の旅行プランを用意したりした。こういうのは需要があるから執り行うことである。
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そしてこうやって熱く応援しているということでお金がしっかり使われ経済がよく回っている。
その一方で「嫌いなアーティストがいるから行かない」人間はどうだろうか。ちっとも経済を回してくれていないではないか。自分の好きなアーティストが活動を続けていくために何の貢献もしていないではないか。
活動をしていく上でお金は原動力、車で言うところのガソリンである。これが無ければ元も子もない。

日本は何かとアイドルが強く、ロックフェスなんかにもガンガン進出しに来たりする。こうなるのはアイドルファンはどんなライブにも足を運ぶ経済を回してくれる人間が多いのと、アンチアイドルが嫌いなのがフェスにいると行かない経済を回してくれないケチな人間が多いというのが合わさった結果、それで日本の音楽業界はどんどんアイドルに侵食されていってるのではないかと思う。
アンチアイドルの人達は本気でアイドルが嫌いでアイドルに侵食されし業界が嫌なのであれば、自分が支持するアーティストの経済が回るようちゃんと努力すべきだろう。自分の好きなアーティストが出るフェスに自分の嫌いなアーティストがいたとすれば、嫌いなアーティストに侵食されないためにも好きなアーティストを熱く応援しに行くべきではないか。

と、LOUD PARKをやっていた頃、日本で初めてOZZFESTやKNOTFESTが行われた頃なんかにこういったことがよく見られたが、今から振り替えってみてもあの当時の人々は経済面に対する理解が全く足りていなかったと思う。フェスティバルなんかはこういう仕組みになっていたりする↓

文句ばかり言っていた人達は世の中の仕組みの勉強不足だった。人間性がどうこう以前の問題だと思う。

2018年にLOUD PARKが滅び、2020年にコロナウイルス問題で次々と倒産していく企業を目の当たりにしてようやくこういったことが学習できてきたように見える。過去にもこのサイトに書いてきたが、人々は経済というものをこれでもかってぐらいにしっかり頭にたたき込む必要がある。
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↑人気ゲーム「あつまれ どうぶつの森」より。このゲーム、経済の勉強になります。



Appetite for.. -Hq- [12 inch Analog]
Guns N' Roses
Geffen
2008-11-24