日本はヘヴィメタルが栄えてる国とは言いがたい。世界的に見て勢力が強いか弱いか、どちらかと言うと弱い方だと思う。強いのであればLOUD PARKとかあんな終わり方はしなかっただろうし。

一方で日本の強いものは何か。やはりパッと思い浮かぶのはアニメ、ゲーム、そしてアイドル文化だろう。その日本におけるアイドルの強みについて深く掘り下げていく。
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何故日本はアイドルが強い、人気が高い国なのか?それは「日本人がそういうのを好みやすい傾向にあるから」といった単純な理由だけではとどまらない。エンターテインメントの世界を見てきて色々と気付いた点があるのでそれを書き綴っていく。


◆金を貢ぐファンの多さ

そういえばアイドルのファンって自分の好きなアイドルに凄くお金を貢いでるよなあ・・・と思う。2010年代は握手券付きCDを売る、同じ商品を複数買わせようと誘導する“AKB商法”なんてものがよく話題になり色々と言われていたが、それにしてもファンは忠実についていき、凄く金と情熱を注いでいるなあと感じた。

僕なんかはラブライバーということで今年さいたまスーパーアリーナで行われた「ラブライブ!フェス」に行ってきたが、そのにぎわいぶりに圧倒された。同じ会場で行われていたLOUD PARKの数倍客数が多く、そしてグッズコレクターが大勢いてグッズ交換に励んでいたりと莫大な経済効果が生まれている様子を目の当たりにした。


BABYMETALもファンが注ぐお金と愛が凄まじい。商品が良く売れる、コンサートの動員力が高い、というのは他の人気アイドル達と同様だが、僕が特に目を見張るのはワールドツアーについていくファンの多さだ。世界中をツアーするアーティストにはどこの国にも行こうとついていく熱狂的なファンがよくいたりするがBABYMETALに至ってはその数の多さが頭一つ抜けてるように思う。JTB社が公式にBABYMETALの海外公演の旅行プランを組んだりしているが、それほどの需要ができるのは驚異的だ。
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この経済が回りまくってるというのが大きな強みであることが間違いない。大勢のファンがたっぷりお金を落としていることにより運営は大きな財力がつく。
財力があれば色んなことができる。有能な人を雇えて、より一層クオリティーの高いことができる。例えば作曲面だとSMAPが槇原敬之(世界に一つだけの花)やエリック・クラプトン(友だちへ〜Say What You Will〜)といった有名人に曲を書いてもらったりしたことなんかがわかりやすい例だろう。

そして宣伝もガンガンできる。宣伝をするのだってお金がいるし使う金額によって宣伝効果の高さが違う。高い金額に伴って効果の高い宣伝ができる。財力のあるアイドルならば大衆に響き渡る宣伝をガンガンできる。
広告の料金なんかを参考に見てみてほしい。


こうして大々的に宣伝する、大々的に売れるのを繰り返して人気者の地位を確立する。


◆アンチアイドルが戦うことを放棄している

有名になればなるほど、人気が出れば出るほどアンチというのが生まれるのが定例。アンチは自分の嫌いな奴らが消えゆくのを望む。
が、そのアイドルのアンチというのが自分達の知らず知らずのうちにアイドルにとって優位に立てるようなことばかりやっていたりする。僕はそのことに気付いた。

これは以前にこのサイトに書いた「ヘヴィメタル界隈によくありがちな実は間違っていた正義感:嫌いなアーティストがいるからライブに行かない」でも触れたのだが、アンチアイドルはアイドルに道を譲るかのようなことをしている。

何かと言うと例えばロックフェス。どんどん巨大な存在となっていくアイドルは色んな世界へ進出し、ロック系のフェスティバルにも出演しに来る。過去にLOUD PARK、OZZFEST JAPAN、VANS WARPED TOUR JAPANといったフェスにアイドルが出演してきた。
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で、本来この手のイベントに出向く人達がアイドルが出るのが気に入らなくて行くのをやめてしまうということが多くあった。これが実はアンチアイドルの人間は絶対にやってはいけないとんでもなく間違った事であった。

何が間違っているかと言うとそれは自分達が嫌いなアイドルと戦うことを放棄し、アイドルに道を譲り、業界がアイドルに侵食されていくのを許しているからである。LOUD PARKに行こうとするような洋楽オタクなんかが特に「アイドルなんかが出るなら行かない!」といった人が多かったが、そうするとどの様な現象が起こるか。

本来ならLOUD PARKの軸となるような洋楽バンドがファンの集まりが悪く、盛り上がりに欠ける。
一方、アイドルのファンというのはフェスに自分の好きなアイドルが一組いるだけで足を運ぶ人が多い。
そうすると洋楽出演者よりアイドル出演者の方がよく盛り上がる。
となればそのフェスに出た洋楽出演者は日本でライブをやるモチベーションが無くなってしまうし、プロモーターも再度呼ぼうとする気が失せる。
そしてアイドルばかりが盛り上がるからこれからも積極的にこの手のイベントにアイドルを出そうという結論に至る。

アンチアイドルはライブに行くのを放棄しているということでお金を落とさず経済を回していない。一方でアイドルはファンがガンガン金を貢ぐので経済がよく回って財力がつく。こうして音楽シーンはどんどんアイドルに侵食されていっている。
「アイドルなんか出るなら行かない!」とか言っていたアンチアイドルは自分がアイドルに道を譲り、アイドルが勢力を強めるのに一役買い、自分が応援する音楽を衰退させていってることに気付いていない。LOUD PARKが2017年を最後に行われなくなってしまったのも、こういう姿勢の人が多かったのが要因の一つとなっていると見て間違いない。

こういう姿勢は実質自分が嫌悪する相手に降参しているわけだし、何よりそんな理由で本来なら行くべきフェスに行かないのは好きなアーティストにも失礼である。それはハッキリ言ってアンチアイドルの人間が不甲斐ない。
前にも書いたがもしもフェスティバルに自分の好きなアーティストと嫌いなアーティストが一緒にいた場合は嫌いなアーティストに侵食されないために自分の好きなアーティストを応援しにフェスに行くのが正しい。
OZZFEST JAPAN 2013なんかは邦楽バンドやももいろクローバーZがいるのが嫌で行かなかった洋楽メタルファンが大勢いたがそれは自分が支持する洋楽メタルを応援するのを放棄していることになる。そうするせいで自分が支持するアーティスト達が自分の嫌いなアーティスト達に食われてしまうのである。

あとこういう音楽のファンはアイドルでもなんでもよく売れているものに対して「売れ線狙い」だの「ビジネス臭がする」だのと見下す人が多い。こういう考え方も状況を悪化させる要因だろう。
どうやら、お金=汚いものだと勝手にイメージづけているようである。それはお金をナメすぎている。お金はあらゆるものを動かす原動力であり、責任の対価。そんな大事なものであることはここ数年の経済面について深く考えさせられてばかりのこの世の中を生きていたらわかるはず。勿論、無駄遣いしたりお金に汚くなったりしてはいけないが、お金はここぞというところでしっかり使っていかないといけない。
LOUD PARKをやっていた頃のメタルファン達は経済面に理解が無さすぎてあらゆることでケチってばかりいた。今こそメタル界も「鬼滅の刃」ぐらい経済を回してやろうといった心意気で頑張らないといけない。

アイドルでもなんでもよくヒットしているものは何故ヒットしているのか、その要因、からくりを理解し、見習っていかねばと思う。強いもの、成功しているものを見習うのは生きていく上で基本の行いである。

BABYMETAL
トイズファクトリー
2020-12-23